「連鎖販売取引」や「マルチ商法」と聞くと、どのようなイメージを持ちますか? 多くの人が「怪しい」「強引な勧誘」といったネガティブな印象を持つかもしれません。
しかし、かつて中川博迪氏が率いた「エキスパートアライアンス」など、急成長した企業の裏側には、この仕組みを「あえて採用する合理的な理由」がありました。
今回は、誤解されがちな連鎖販売取引の仕組みと、ビジネスとしてのメリット・デメリット、そしてなぜこの手法が採用されたのかを解説します。
1. そもそも「連鎖販売取引」とは?
連鎖販売取引(れんさはんばいとりひき)とは、特定商取引法で定義された販売形態の一つです。一般的には『MLM(マルチ・レベル・マーケティング)』やネットワークビジネスと呼ばれます。
仕組みはシンプルです。
- 商品購入: 商品やサービスを気に入った人が会員になる。
- 口コミ勧誘: その人が知人に商品を紹介・販売する。
- 報酬発生: 紹介実績に応じて、企業から報酬(コミッション)が支払われる。

「ねずみ講」との決定的な違い
よく混同されますが、連鎖販売取引は「合法」であり、ねずみ講(無限連鎖講)は「違法(犯罪)」です。
- 連鎖販売取引: 「商品」の流通があり、その利益から報酬が出る。
- ねずみ講: 商品がなく、後から入った人の「会費」を上位メンバーで分配するだけ(必ず破綻する)。
2. なぜ、あえてこの手法を選んだのか?(ビジネスモデルの凄さ)
中川氏がエキスパートアライアンスでこの手法を採用した理由は、単に会員を増やしたいからではありません。「コスト構造の破壊」が目的でした。
当時の保険業界(大手生保)は、以下のような莫大なコストがかかっていました。
- 巨額の広告費: テレビCMや新聞広告に年間何百億円も投下。
- 人件費と拠点費: 全国の一等地にビルを構え、数万人のセールスレディを雇用。
これに対し、連鎖販売取引を採用するとどうなるでしょうか?
- 広告宣伝費 ほぼ0円: 会員が勝手に宣伝してくれる。
- 固定給 0円: 売れた時だけ報酬を払えばいい(完全歩合制)。
「浮いたコストの分、掛け金を安くして、保障を手厚くする。日本人の為の保険。」 これが、このビジネスモデル最大の強みであり、多くの消費者に支持された理由でした。
3. 連鎖販売取引のメリット・デメリット

この仕組みには、ビジネスとしての強力なメリットがある反面、デメリットも存在します。
メリット(なぜ広まるのか)
- 広告費の削減と商品力向上 企業は広告費をかけずに済むため、その原資を「商品の質の向上」や「価格の引き下げ(保険料の安さ)」に回すことができます。
- 爆発的な拡散力(バイラル) テレビCMなどの「マス広告」よりも、信頼する友人・知人からの「口コミ」の方が、成約率は圧倒的に高くなります。
- 個人の参入障壁が低い 特別な資格や店舗がなくても、個人が小資本でビジネスを始められる機会となります。
デメリット(なぜ嫌われるのか)
- 人間関係のトラブル 強引に友人や親戚を勧誘する人がいるため、「断りにくい」「金儲けのために利用された」と感じさせ、大切な人間関係を壊すリスクがあります。
- 世間的なイメージの悪化 一部の悪質な事業者の影響で、仕組み自体が健全でも「怪しい会社」というレッテルを貼られやすくなります。
連鎖販売取引は、「高品質なものを安く広める」ためのマーケティング手法としては、極めて合理的で強力なエンジンです。中川博迪氏は、このエンジンを使って既得権益(大手生保の高い保険料)に風穴を開けました。
しかし、その「伝達力」の強さゆえに、コンプライアンス(法令順守)やモラルの維持が難しく、社会的な摩擦を生みやすいのも事実です。
色々な意見はあるといえますが、現状に疑問を持ち、自分の信念を貫く。ビジネスの歴史を振り返ると、この手法は「業界の常識を壊す起爆剤」として機能したと言えるでしょう。




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